歯科治療の成功に必要なのはFunction,Esthetic,Biology,Structureであります。私たち歯科技工士が重要なのは、適合、咬合、審美、生体親和、に他なりません。以下に示すこれらの4つのトータルバランスこそが、最も望まれる事であると思います。
印象材や、鋳型材などの材料学的な改良が進んでいるにも関わらず、十分達成可能なオーダーが、多くの患者に享受されているとは言いがたいのが現状である。
支台歯への不適合な補綴物は大半が浮き上がりであり、その補綴物はこれから述べる咬合、審美、生体親和をどれだけ考慮してもすべて意味をはたさなくなる。
高い適合精度の補綴物が装着されたとしても、早期に高い評価を得る事は難しいかも知れない。又、高い適合精度を求める事は、時間と様々な労力を費やす事を余儀なくされる。
しかしながら、適合とは、成功への出発点であり、妥協は決して許されない。
我々歯科技工士は機能回復こそが、最重要課題である。
機能回復において咬合理論を熟知することは、大変重要である 。 しかしながら臨床においての失敗は、ほとんど『タ・カ・イ』の一言で終わる。
大切な事は、調整が少なく確実に装着できるシステムを確立することであり、そしてその基本的なシステムの延長線上に、理想的咬合の再構築が成り立つと考える。
顎機能不全である患者に対しては、CTで顎間接の撮影から、適正下顎位へリポジショニングや、咬合高径の決定には、セファロ分析など、客観的な診断を歯科技工士からアプローチする必要性があると考える。
近年、審美補綴においてさまざまな修復材料がトピックとなり、学会等ですばらしいケースをよく目にする。大きなスクリーンで見て、どれが補綴物だかわからないほどのケースをみると、大変な労力と時間を費やし、努力されたことだろうと頭の下がる思いである。
臨床家である我々は、常にいい結果を提供できることが必要であり、患者さんが満足して帰ってもらう事が重要であると思う。
審美の難しいところは主観が入るところで、しっかりとした双方のコミュニケーションと確実な情報伝達がなされてなければ互いにストレスのたまる結果となる。
審美修復とはコミュニケーションと情報伝達の繰り返しによって、作り上げていくことが成功への近道と言える。
生体親和とは、適合、咬合、審美(機能的形態)が、融合した結果を言う。 付け加えると、修復材料も重要な要素である。
天然歯の硬さに近い物や、メタルフリーのオールセラミッククラウン、コンピューターによる一貫したシステムで、純度の高い安定した材質を削りだして製作するCAD/CAMシステム、いずれも顎機能、軟組織、生体との調和を考えたときに有利な材料である。
生体親和性の良い補綴物こそが、我々の求める予知性の高い補綴物と言えるのではないかと考える。又、適合が成功の出発点であるなら、生体親和とは、終末点であろう。
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